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綿矢りさ『いなか、の、すとーかー』愛と執着の物語

綿矢りささんの小説『いなか、の、すとーかー』は、人とのコミュニケーションや関係性の複雑さを巧みに描いた作品です。若くして成功を収めた陶芸家の主人公が、ストーカーに追われるという展開を通じて、読者に様々な感情を呼び起こします。

綿矢りさ『いなか、の、すとーかー』

ウォーク・イン・クローゼット (講談社文庫)

あらすじ

陶芸家デビューからわずか3年、石居は、テレビで特集が組まれるほどの人気の売れっ子。東京の美大卒業後、郷里に戻り、工房をかまえ、絵になるロハスな陶芸家生活を送っている。しかし、以前から彼を追う女ストーカー・砂原が工房に現れるようになり、事態はどんどん不穏さを増していき…。

引用元:Amazon

作品の魅力・ポイント

丁寧な心理描写

綿矢りささんの特徴である登場人物の丁寧な心理描写が、この作品でも存分に発揮されています。主人公の内面だけでなく、ストーカー役の女性の心情も細やかに描かれており、読者を物語の世界に引き込みます。

意外性のある展開

一見ミステリーホラー小説のような設定ながら、予想を裏切る展開が読者を驚かせます。綿矢りささんの作品の中でも、特にこの小説は起承転結がはっきりしており、読みやすさと面白さを兼ね備えています。

芸術と日常の融合

陶芸という伝統工芸の世界と、現代の日常生活が巧みに融合されています。芸術家の生活や創作の過程が描かれることで、読者は普段触れることの少ない世界を覗き見ることができます。

感想

『いなか、の、すとーかー』を読んで、まず感じたのは芸術の世界への憧れです。主人公の石居が若くしてメディアに取り上げられるほどの陶芸家として成功している姿は、羨ましくもあり、憧れの対象にもなります。

一方で、ストーカーに追われるという展開は、読者に様々な感情を抱かせます。ファンとストーカーの境界線について考えさせられる場面もあり、興味深い視点を提供してくれます。

砂原さんというストーカー役の女性の描写も印象的でした。単純に悪役として描かれるのではなく、彼女の行動の背景にある感情が丁寧に描かれています。これにより、読者は彼女の立場に立って考えることができ、物語に深みを与えています。

また、この小説は成長の物語としても読むことができます。主人公が様々な経験を通して強くなっていく過程は、読者に共感を呼び起こします。同時に、主人公の恵まれた環境に対して、羨望の念を抱く読者もいるかもしれません。

おわりに

『いなか、の、すとーかー』は、綿矢りささんの繊細な筆致で描かれた、人間関係の機微を探る作品です。芸術の世界、ストーカー問題、個人の成長など、多様なテーマが織り込まれており、読者に深い印象を残します。また、読みやすさと奥深さを兼ね備えた構成は、幅広い年齢層の読者を惹きつけるでしょう。この小説は、人生における様々な経験や関係性について、読者に新たな視点を提供してくれる魅力的な一冊です。

参考リンク

note.com

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