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本や映画の感想

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桐野夏生『ハピネス』ママ友関係の光と影を鋭く描く

『ハピネス』を読み終えた直後、「面白い!止まらない!」という感想が頭を駆け巡りました。 タワマンに住む主婦たちの華やかな生活の裏側で渦巻く嫉妬や欲望、そして隠された過去。桐野夏生さんの鋭い洞察力で描かれる人間ドラマに、一気に引き込まれてしまいました。

桐野夏生『ハピネス』

ハピネス ハピネス・ロンリネス (光文社文庫)

あらすじ

高級タワーマンションに暮らす岩見有紗は窒息寸前だ。ままならぬ子育て、しがらみに満ちたママ友たちとの付き合い、海外出張中の夫・俊平からの離婚申し出、そして誰にも明かせない彼女自身の過去。軋んでいく人間関係を通じて、徐々に明らかとなるそれぞれの秘密。華やかな幸せの裏側に潜む悪意と空虚を暴き出す。人気女性誌「VERY」連載時から話題沸騰の衝撃作!

引用元:Amazon

作品のポイント・魅力

『ハピネス』の最大の魅力は、登場人物たちの生々しい描写にあります。特に印象に残ったのは、主人公の有紗と美雨ママの暴露話のシーンです。「えっ!?」と思わず声に出してしまうほどの衝撃的な展開に、ページをめくる手が止まりませんでした。

桐野夏生さんの文体は、淡々としながらも鋭い観察眼が光ります。例えば、ママ友同士の会話で頻出する「〇〇ちゃんママ」という呼び方。一見何気ない表現ですが、これが狭い世界観を端的に表現し、登場人物たちの関係性を浮き彫りにしています。

また、この作品の独自性は、華やかな生活の裏に潜む虚無感を描き出している点にあります。タワマンという憧れの住環境にありながら、登場人物たちは皆、何かしらの闇を抱えています。この表面的な幸せと内面の葛藤のコントラストが、読者を惹きつけてやみません。

感想

特に心に残ったのは、有紗の成長過程です。当初は周囲に流されがちだった彼女が、徐々に自分の価値観を見出していく姿に、共感と応援の気持ちが湧きました。

一方で、登場人物たちの言動に違和感を覚えることも少なくありませんでした。例えば、シャベルが下の階に落下するシーンは、ヒヤリとする場面でした。これは単なる事故ではなく、人間関係の歪みが引き起こした出来事だと感じ、現実社会でも起こりうる危険性を考えさせられました。

この作品を通じて、表面的な付き合いの危うさや、自分らしさを失わないことの大切さを改めて考えさせられました。私自身、ママ友との関係に悩んだ経験がありますが、この本を読んで、互いを理解し合うことの難しさと重要性を再認識しました。

読者の皆さんも、きっと自分の経験と重ね合わせながら読めるのではないでしょうか?例えば、周囲との比較に苦しんだ経験や、自分の過去と向き合うことの難しさなど、共感できる部分が多々あると思います。

おわりに

『ハピネス』は、現代社会の縮図とも言える作品です。華やかな生活の裏側にある人間の本質を鋭く描き出し、読者に深い考察を促します。

この本を通じて、自分自身の人間関係や価値観を見つめ直すきっかけを得られるのではないでしょうか。皆さんは、タワマンに住む登場人物たちの行動や心情をどのように感じましたか?自分だったらどう行動するか、考えてみるのも面白いかもしれません。

参考リンク

minorimainiti.hatenablog.com