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浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』就活の舞台で繰り広げられる嘘と真実

『六人の嘘つきな大学生』は、浅倉秋成さんによる青春ミステリー小説です。就職活動を舞台に、6人の大学生たちが繰り広げる心理戦と、彼らの隠された過去や本音が明かされていく展開に、多くの読者が引き込まれています。2022年本屋大賞にノミネートされ、複数のミステリーランキングでも上位に選ばれた話題作を紹介していきます。

浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』

六人の嘘つきな大学生 (角川文庫)

あらすじ

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。

引用元:Amazon

作品の魅力・ポイント

就活という身近なテーマで描かれる人間ドラマ

本作の舞台は、IT企業「スピラリンクス」の新卒採用試験です。最終選考に残った6人の大学生たちが、内定を勝ち取るために繰り広げる駆け引きが描かれています。就職活動という多くの人が経験する身近なテーマを通じて、人間の本質や社会の縮図が巧みに表現されています

緊迫感あふれる心理戦と伏線回収

物語は、協力して全員が内定を目指す状況から、突如1人だけが選ばれる競争へと変化します。この劇的な展開により、登場人物たちの関係性が一変し、互いを疑い合う緊張感溢れる心理戦が繰り広げられます。読者は、キャラクターたちの思惑や隠された過去を推理しながら、伏線回収の妙を楽しむことができます

多面的な人間性の描写

本作の最大の魅力は、登場人物たちの多面的な人間性の描写です。一見悪人に見える行動の裏に隠された事情や、善意から生まれた嘘など、人間の複雑さや善悪の境界線の曖昧さが丁寧に描かれています。これにより、読者は自分自身や周囲の人々の行動を振り返るきっかけを得ることができます。

感想

『六人の嘘つきな大学生』を読んで、人を一面的に判断することの危険性を強く感じました。物語が進むにつれて、登場人物たちの印象が大きく変わっていく様子に、自分の思慮の浅さを反省させられました。

特に印象的だったのは、一見悪行に見える出来事の背景に、必ずしも悪意だけではない「事情」があったことです。新たな情報が加わるだけで、同じ出来事の印象がまったく変わってしまう。この描写を通じて、人間の多面性や、善悪を簡単に判断できないことを痛感しました。

また、就活というシステムの理不尽さや大雑把さも浮き彫りになっていて、現実社会の縮図を見ているようでした。しかし、そんな厳しい状況の中でも、登場人物たちがそれぞれの優しさや気遣いを持ち合わせていることに、人間の温かさを感じました。

本作は、一見すると怖いミステリーのように思えますが、実際には優しさに溢れた作品でした。疑心暗鬼になるのではなく、互いを信じ合うことの大切さを教えてくれる、心温まるミステリーだと感じました。

おわりに

『六人の嘘つきな大学生』は、就活という身近なテーマを通じて、人間の複雑さと優しさを描いた作品です。緊張感溢れる心理戦と巧みな伏線回収、そして多面的な人間性の描写が見事に調和し、読者を引き込みます。この本は、人を簡単に判断せず、互いの背景や事情を理解し合うことの大切さを教えてくれる、優しいミステリーです。就活生はもちろん、人間関係に悩む全ての人におすすめの一冊です。

参考リンク

note.com

wittale.com

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