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本や映画の感想

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読後に思わず実家を考える 小谷野敦『実家が怖い』のリアリティ

実家という言葉を聞いて、みなさんはどんな気持ちを抱きますか。帰るのが楽しみな人もいれば、なんとなく気が進まないという人もいるかもしれません。今回読んだ小谷野敦さんの『実家が怖い』は、そんな実家への複雑な感情を描いた作品です。一見すると「怖い」という言葉が目を引きますが、その裏にあるのは家族や過去に向き合う人間ドラマです。 私自身も実家に帰ることにいろいろと思うところがあるので、この本はとても興味深く読めました。この記事では感想やポイントをご紹介します。

『実家が怖い』概要

『実家が怖い』(『とちおとめのババロア』所収作)

とちおとめのババロア

あらすじ

実家と膨大な蔵書を処分する一幕「実家が怖い」

引用元:Amazon

感想

『実家が怖い』というタイトルから連想したことが自分のことです。私は今ではタバコをやめたので、全員が喫煙者の実家に帰るとそのヤニ臭さがどうにもきついこと。壁の黄ばみ具合なんかを見ると、よく昔は平気で過ごしていたなと思います。布団も年中敷きっぱなしで、もしその下をのぞいたらキノコでも生えていそうな気さえします。まぁ、全くこういう作品ではないんですけどね。むしろ主人公の男性が思いっきり喫煙者でした。
あと、作中でブックオフが出てくる場面がありました。実家の蔵書をどうするかという話の中で、ブックオフに本を売る描写が出てくるんです。私はどちらかというとブックオフで本を買うことのほうが多いですが、創作作品の中にブックオフが登場するのは新鮮でした。というか描写がリアル過ぎて私小説、というかただただ実話じゃね?と思いながら読みました。

実家のリアルな描写

この本の最大の魅力は、実家のリアルな描写です。小谷野さんは実家の物理的な様子だけでなく、そこでの人間関係や微妙な空気感を細かく描写しています。読んでいると、実家特有の「なんとも言えない息苦しさ」を思い出させられるんですよね。読者にとって共感できるポイントが多いのも、この作品の魅力の一つです。

南原幹雄作品との偶然の出会い

物語の中で登場する南原幹雄の『天下の旗に叛いて』という本。これ、実は私が以前から読みたかった本なんです。作中でそのタイトルを見た瞬間、思わず驚きました。なんとブックオフオンラインで検索したら在庫があったんですが、やはり90年代の本ということでタバコ臭い可能性があり、購入をためらっています。自分の読みたい本との偶然の出会いがあるのも、この作品の楽しさのひとつですね。

幼少期の日記をめぐる物語

物語の終盤、主人公が幼少期に書いた日記を見つけて読み返す場面があります。このシーンはとても印象的でした。過去の自分に向き合うことで、現在の自分を見つめ直すというテーマが心に響きます。 私も子どもの頃に日記をつけていたら、後で読み返せる楽しさがあっただろうなと考えさせられました。ちなみに高校2年生の頃からブログを始めて、今もときどき読み返して懐かしんでいます。

おわりに

『実家が怖い』は、実家という身近でありながら複雑なテーマに真正面から向き合った作品です。家族や過去に対する葛藤、そこにある人間ドラマが丁寧に描かれていて、共感しやすい内容になっています。 実家について何かしらの思いがある方にはぜひおすすめしたい一冊です。この本を読んだことで、私自身も改めて自分の実家や過去を見つめ直すきっかけになりました。皆さんもぜひ読んでみてくださいね。